2063年 11月15日 記録者 帝架(後述筆記・乱崎凰火)
おや? 「課題」というのが消えているのであるな。母上殿が飽きたとみえる。その代わりページの隅っこのほうに『求ム! 凰火ノ処刑法!』と危ない感じの公募が載っているぞ。むう、ちょっとは仲良くしたらどうであるか二人とも。
まぁ愛情表現は十人十色であろうがな――む? 痛いである。尻尾を引っぱらないでくれまいか父上殿。
――大日本帝国超常現象対策局公認特殊作戦遂行家族 乱崎家の日記より抜粋――
(152ページ 第四の乱 冒頭より)
三度目いくぞ! ついに帝架くんの出番がッ! どうせ、今後こんなにスポットがあたることなんて……もうッ……!
アニメでは1話分に詰め込まれた関係上、話とは全然関係ないところで致命的なダメージを受ける凶華様など、原作のサブエピソードがいくつも削られている。
凶華とオデッサ、多可墓と静、銀夏と雷蝶、Dr.ゲボックとDr.ヘルといった、ちょっと本筋と関係ないアニメというメディアにはどうかと思う一般性を欠いたドラマは、小説のほうで楽しんでいただきたい。それと、純粋で天使のような優歌に並ぶ心のオアシス(P74)などという記述は見過ごせない。大丈夫であるか父上殿? 気持ちはわからぬでもないが。
そして傷つくことを恐れぬ帝架の闘いを見て……。いつでも怠慢でふざけていて不真面目なあの怠け者が、ついに、自らの戦いへと足を踏み出す――。
【題名】狂乱家族日記 伍さつめ
【著者】日日日/AKIRA
【挿絵】x6suke/Pekerokusuke
【発表】2006.08
【発行】ファミ通文庫
【人物】キューピー=ドゥー。多加墓真倉。マンティス。ヘル=シーノウ。
【用語】魔族狩り。僕らの町は針鼠計画。国民総火の玉計画。二十五本の罰。
【台詞】
「私のせいだ。みんな私のせいなのだ。みんな死んでしまった。私は許せない。弱い自分を許せない。人間どもが恨めしい。理不尽な――運命が」(P6)
「我輩は王ではない。褐色皇帝は王ではない。世界の支配者たる存在が互いに憎みあい殺しあいをするだろうか? 否――そんなことはない。あのとき褐色皇帝は滅んだのであるよ」(P33)
「痛みに鈍くなることを強くなると呼び、過去を忘れることを成長と呼ぶのなら、我輩はたしかに強く成長したのであろうよ」(P34)
「止めないでください! 止めないでください! 止めないでください! 神様が! 神様が私に奇跡をくれたんです! 離して! 離してください! わたしをあっちの世界に行かせてくださいよぉぉ!」(P35)
「思考放棄しましたね? 思考放棄しましたね? わたくしはそういうふうに安易に『自分は頭がわるいから考えたくない』と理解を放棄する真似がとてもとてもとても大嫌いです」(P67)
「研究して。追求して。探求して。終わりのナい、好奇心の螺旋――新発見の渦、気が狂うような研究と発見の連鎖こそが我々、科学者の人生です」(P96)
「くくく、喜べ家族ども。このいつでも貴様らの人生の娯楽性を高めてやっているスーパースター凶華様がちょっくら素敵なことを思いついたぞ」(P144)
「のう、汝ら、真実を知りたいと思うか? 我は教えることができるぞ。汝らの知りたいことすべて。千年前に何があったか、『閻禍』」とは――なんなのか。どうして我らは家族として集められたのか」(P220)