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■王のお仕事とか
男爵・よみメモ | 2011/06/03 09:05


紅秀麗
「国中の人々が幸せになれるような国をつくってくださいなんて、そんな馬鹿なことを言うつもりはないわ。だってそんなの絶対無理だもの。幸せって、誰かが与えてあげられるようなものじゃないでしょう。その人が感じるものだから、その人自身がつかみ取らなければ意味のないものなのよ。――少なくとも私はそう思うわ」

「幸も不幸も、その人自身の問題だわ。だから、王様はそんなとこまで責任を持たなくたっていいの。ただ――一人一人が自分の人生を自由に生きられるようにしてほしい。望んでいるのは、それだけ」

「その人の人生は、その人だけのものよ。いくつもある選択肢を自分で選んで、生きていく。
 世の中は平等じゃないわ。理不尽なことだってたくさんある。でも、どんなときだって、選べる道は必ず二つ以上あって、そこから自分で道を選んで歩いていくのよ。だからその人の人生も、幸も不幸もその人自身の責任。どんなに不幸に見えても――理不尽に思えても」

「でもね、そういう、『選ぶ』ことすらできなくなる時があるの。津波みたいに突然襲いかかってきたものに、それまで積み重ねてきたものすべてを壊されて、さらわれて――何もかもめちゃくちゃにされてしまう。その津波は誰のせいでもないのに――人は大切なものが失われていくのをただ見ていることしかできない。何もかものみこむ津波に抗う術もなくて、ただ『生きる』ことだけがすべてになる。何かを『選ぶ』余地すらなくなる。だってまず『生きのび』なくちゃ、人生も――幸も不幸もないから」

「それが天災なら、あきらめるほかないわ。だって本当にどうしようもないもの。でもね、人災のときがあるから、始末に負えないのよ。――八年前、みたいに」

「でもね、人災なら、人の手で防げるでしょう?」

「そうよ。人の力で何とかなることだって、いっぱいあるのよ」

「――王に全部押しつけるわけじゃないわ。でも、庶民がいくら頑張ってもできないことも絶対あるのよ。それが、王のお仕事でしょう? それをサボってもらっちゃ困るわ。王様だからできることなのに、王様がサボったら誰がやるっていうの?」

(彩雲国物語 はじまりの風は紅く【本編1巻】58-59頁より)
はじまりの風は紅く




『電脳コイル』小説版が完結し、『狼と香辛料』が旅の終わりを見つけ、『狂乱家族日記』が大団円を迎えた今――寂寥の境地に苛まれる男爵が、待ち焦がれながらも最も恐れていた事態がついに来てしまった。

そう、『彩雲国物語』最終章――!

「彩雲国物語 紫闇の玉座(上)」 6月1日発売予定! 下巻は7月1日発売予定! とうとうこの日がっ、来てしまう……!

そんなわけで今、彩雲国物語をイチから読み返しているのだが、あまりにもタイムリーなセリフだったのでメモ。後に稀代の名官吏として名を残す紅秀麗の、「王」へ向けての初めての言葉である。

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